本書は、題名の示す通り、卒後初期研修の手引書です。とくに、救急部門をローテイトするとき欠かせない項目(コアカリキュラム)が中心です。この研修期間をいかに有意義に過ごすかは、研修医個々人はもちろん研修病院にとっても重大な問題であり、より良い研修システムつくりの一環として本書を企画しました。臨床研修とは、単なる見学であったり指導医の教えを傾聴することではありません。医師として責任ある態度で患者と向い合いながら、必要に応じて指導医に相談したり、チェックをうけながら行われる診療の一形態です。つまり、研修医といえども可能なかぎり自立することが期待されます。指導医に相談する前に、もう一歩、自分で考える姿勢が要求されるのです。ただ、慢性疾患の場合と違って、救急診療では時間的な余裕がありません。考えろと言われても、そのために必要な文書を読む時間さえ取れないかもしれません。そうしたときに役立つのが本書です。(「はじめに」より)