精神障害者の一部に激しい暴力のため保護室から出られず対応に苦慮している患者が存在する。この「保護室」という治療空間を積極的に活用することこそがまさに現場における実際的な対応といえる。本書は、困難事例に意欲的に取り組んでいる、国立肥前療養所のスタッフ・チームが、日々の臨床実践の中から、治療指針や精神科看護の技術、チーム医療のあり方を詳しく説いたものである。患者の暴力の背景にある健康なニーズを見出し、共感し、受容しつつ自立させてゆくという、精神科看護の基本的考え方とチームとして動ける質の高い治療技術の要諦がわかりやすく述べられている。また、暴力回避のための心理教育的アプローチや繁樹回避のセルフコントロールなどの具体的な技法や、救急・急性期病棟における保健室の構造についても紹介される。