長い間の習慣をかえることは容易ではありません。それは1人ひとりの人生観にも関わることだからです。とはいっても人間の最大の財産、最高の幸せは健康であることに異論はないはずです。また1回限りの人生ドラマの主役を演ずるのは自分自身であり、代理人はいないのです。このことを自覚し、自分のための自己管理に徹する勇気と信念が必要なのではないでしょうか。つまり糖尿病との長い付き合いは自分自身との闘いであるということなのです。そんな思いから臨床医生活45年の中で、筆者が2型糖尿病診療と深く関わってきている30年余の実地診療を通して学んだ予防・治療・啓発活動における多くの体験を整理しながら、古稀を契機に開設した札幌糖尿病学習相談所を訪れる患者さんたちが抱える生活上や診断・治療上の不安、不満や悩みを傾聴することによって教えられた食事・運動療法のあり方や受診時の意外な問題点を検証し、皆様の自己管理に少しでもお役に立てれば…と考えて本書を出版させていただきました。(「はじめに」より)