『乳腺診断アトラス』は、国立がんセンター中央病院の豊富な症例の中から優れた写真を選び、すべての症例にX線・超音波・病理の写真を掲載した、他に類を見ない鮮鋭な画像のアトラスであった。しかし、この著書の用いている超音波の写真は、当時一般的に使用された水浸式装置によって撮られたもので、出版直後に開発された電子走査式装置で撮られたものではない。そこでその部分を補うという意向で本書『乳腺超音波診断法』を出版するにいたった。本書の特徴として、現在一般に用いられている各種の新しい装置についてやや詳しく記述した。診断に関しては、病理組織変化と超音波画像の関係を述べ、それぞれの病変の超音波像の成り立ちについて解説した。本書が、病変か否かを判断できずにいる多くの医師や技師の役に立ち、不必要な過剰な検査、たとえば穿刺細胞診が減少する事を望んで止まない。