栄養管理は、全ての疾患治療のうえで共通する基本的医療の一つである。欧米では1970年代以降、nutrition support team(NST:栄養サポートチーム)を中心にこの基本的医療の確立を目指してきた。しかし、わが国ではいまだ多くの医療施設で栄養療法をはじめとする基本的な医療を軽視する傾向にある。そこで2001年2月、日本静脈経腸栄養学会は、NSTを通して栄養療法を全国に普及させ、栄養療法による治療効果の向上と医療の合理化、そして栄養障害により惹起される合併症を予防して無駄な医療費の削減を図る目的で、NSTプロジェクトを設立した。これは、全国各地の医療施設に学会指導のもとNSTの設立を支援・助力するものであり、2002年6月までのわずか1年4ヶ月間に、175もの施設が参加し、そのうち45施設にNSTが設立されている。このように、わが国においても栄養療法を基本的医療ととらえ、その確立に尽力する医療施設や医療人が増加しつつある。そこで本稿では、栄養療法のまず登竜門とされる栄養アセスメントについて、その臨床的意義と手技・手法について概説する。