これまでSASに対しては、耳鼻咽喉科のみならず、呼吸器内科、循環器内科、精神神経科、小児科、歯科口腔外科など種々の科で取り扱われてきました。SASの中でも閉塞性SAS(obstructiveSAS、OSAS)は約8割を占め、その原因は鼻腔、咽頭、喉頭などの耳鼻咽喉科領域に存在し、視診やファイバースコープなどによる診断面で耳鼻咽喉科が最も有利な立場にあります。また、いびきの音源も咽喉頭などにあることが最も多く、耳鼻咽喉科の守備範囲内にあります。さらに、治療面においても、耳鼻咽喉科医は両手に治療手段を有しています。すなわち、右手には外科的治療手段、左手にはnasalCPAPなどの非外科的治療手段です。耳鼻咽喉科医は診断と治療の両面においてOSASや病的いびきに対して今後さらに積極的に取り組む必要があるかと思われます。以上の点を考慮して、いびき・SASの病態・発生メカニズムに始まり、原因、診断と治療選択、UPPP、LAUPなどの手術治療のコツ、手術の危険度と合併症、保存的治療、小児の治療、および日中傾眠や高血圧などの合併症に至る10項目のテーマを取り上げた次第です。そして、耳鼻咽喉科の本領域のエキスパートの先生方に執筆をお願いしました。(「編集企画にあたって」より)