1980年代に入り、我が国においても人工関節置換術が多く行われるようになった。それらの症例が10年以上の経過とともに様々な問題を惹起し、再置換術を行う症例が増えてきた。今後更に、欧米と同様に再置換術を行わなければならない症例の爆発的な増加が予想される。今回はそれら再置換術を要する症例に適切に対応する目的で、人工関節再置換術という編集企画をさせていただいた。人工関節再置換術は初回手術と異なり、手術のタイミングや、再置換術に至った原因(loosening、感染、脱臼)により、それぞれ困難な問題が多く存在する。また人工関節再置換術とは、手術手技においても、如何に骨欠損を補填し、如何に初期固定を得るかという非常に難しい問題を多く含んでいる。今回はそれらの問題に対して、今まさに実践で立ち向かっておられる先生方にその経験を踏まえて、ご執筆をお願いした。一言で人工関節再置換術といっても様々な関節に対する人工物が存在するわけで、それらを一同にご紹介するのは紙面の関係上困難である。そのため今回は最も一般的で使用頻度の高い人工股関節、人工膝関節の再置換術に限定させていただいた。その代わりに重要なポイントを絞り実際の臨床現場でお役にたつものになったと自負している。(「編集企画にあたって」より)