救急集中治療の技術は、先端工学や情報通信技術の進歩と導入によりめざましいものがあります。しかし、多臓器不全や多発外傷などの長期間の救急集中治療を必要とする患者さんの栄養補給は、依然として中心静脈栄養や経管栄養に頼らざるを得ないのが現状です。このような重症疾患では、全身の代謝状態もめまぐるしく変動していることが知られており、治療期間が長期になればなるほど、重症であればあるほどに、栄養管理、とくに全身の代謝において様々な働きをもち、欠かすことのできないビタミンや微量元素などの補充に注意を払う必要があります。また、救急集中治療においては、生体には生理学的に適している経管栄養に比べて、中心静脈栄養のほうがビタミンや微量元素を治療者の目に見える形で投与できるため、依然として好まれているのも事実です。本特集では、重症患者の救急集中治療に経験豊富な先生方に、治療において必要なビタミンと微量元素に関する知識を執筆していただきました。それぞれ様々な見地から、臨床経験に基づいて基調な情報が述べられており、日進月歩の医療技術に見合ったビタミンや微量元素の補給の概念が示されています。