「乳腺手術の多くは内視鏡を用いて行っています」というと、関西では「なんでわざわざそんなことしまんねん」、関東では「体表臓器である乳癌の手術に内視鏡を使っちゃうの」と言われることが多い。もっともなご意見である。乳癌に対する鏡視下手術の学会発表が行われだした1995〜1998年頃、多くの学会・研究会では、このような意見・質問が多かった。ところが実際に行ってみると、予想を越えたいろいろな意見があったりする。また、なにより患者さんに喜ばれることが多い。今この本を手にとって、「よく読んでから、さらによく考えてから鏡視下乳腺手術を始めるかどうか考えてみよう」と思っているあなたに言いたい。「騙されたつもりで一度行ってください」。また、この本の著者の誰かが近くにいたら、その手術を見に行って下さい。だれでも気持ち良く迎えていただけると思います。むしろ、こちらの期待以上にいろいろ教えようとするドクターの方が多いと思います。(「序文」より)