オスキー(OSCE)なる言葉が学生教育で言われるようになって、国試への導入も検討されるようになってきました。しかし、日本という国は、医学生にどの程度までの実技能力修得を求めているのでしょうか?試験を課すのは当然としても、具体的な指針もないままでは学生も教員も困ってしまいます。国試の出題基準のように、まるで医学書の目次が並んでいるようなものではなくて、もっと、具体的な本物の指針はないのでしょうか。まあ、そんなことをぼやいていてもしかたありませんので、これまで私が学生さん用にまとめてきた文章に加筆して腹部OSCEについてまとめてみました。この本ではまずOSCE対策を想定して「第2章腹部OSCEのチェックポイント―まずは試験に受かることを考えよう―」と、第3章 OSCEのバリエーション」を、さらに実地臨床に必要な鑑別診断を意識した「第4章 OSCE対策だけじゃつまらない―腹部の診察から考える病態と鑑別診断―」とを書いてみました。なるべく具体的な内容になることと、実技試験だけではなくもっと本質的な考え方についても触れてみました。(「はじめに」より)