血液疾患の治療は急速に進歩している。かつて薄幸のヒロインがおかされる不治の病として映画や小説に登場した白血病は、化学療法や骨髄移植によって患者の多くが長期に生存し、治癒も可能となっており。もちろん、現在でも大変な病気ではあるが、不治の病という設定はすでに陳腐なものとなっており、正しくない。最近、白血病や悪性リンパ腫を引き起こす遺伝子異常が次々と見つけられ、これに対して特異的に作用する薬物による分子標的治療がいち早く臨床の現場に登場してきている。したがって、少し前の教科書を開いても、内容が古かったり、実践的でなかったりすることも少なくない。そこで本書では、血液病の病態生理、症候、診断、検査、治療について最新の内容をわかりやすく、実践的に記述するようにつとめた。実際に病棟で勤務する若手医師を中心に執筆してもらい、日常看護をするにあたって知っておくべき大切な項目をもらさないように配慮した。(「序文」より)