この本は統計学の話が多くなるだろうが、いわゆる統計学の本ではない。説明に数式は用いない。統計学を研究の道具として正しく有効に使うための最も基礎的な考えかたの解説書である。できるだけ具体例に即して説明するが、それを通じて自分のデータのことを考えていただくのが最も分かりやすいと思う。たとえれば「生」の臨床データは埋もれた鉱脈である。適切な方法で採掘し精錬すれば、豊かな富をもたらしてくれるだろう。この本ではそのための効率的な方法を、分かりやすい知識として提供したいと考えている。この本が、データをまとめたいと考えている臨床家の方々や、これから学位論文を作ろうとしている大学院生や研究者のお役に立てば、筆者にとってこの上ない幸せである。