ダイビングの事故・法的責任と問題

出版社: 杏林書院
著者:
発行日: 2001-01-01
分野: 医学一般  >  制度(法/経済)
ISBN: 4764415623
書籍・雑誌
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2,970 円(税込)

商品紹介

〜私は,初心者とも言うべき人が,スクーバダイビングで死亡した事件につき,民事,刑事の両面からご遺族の立場に立って関与している.その過程で,著者の既刊の著書を読ませていただき,大いに啓発されるところがあった.本書にも随所に著者の考えに共鳴するところがある.法的責任を取り上げた専門的分野のみならず,著者の主張の底流をなす人命尊重の考えに強く惹かれる.〜  土肥 孝治(弁護士・前検事総長)の本書序文より レクリエーションとして広く普及しているスクーバダイビングですが,毎年大勢の死傷者が出ています.事故で命を落とし,その原因が自己責任ではないものであっても,十分な法的救済がされているとは言い難い現状です.本書では,致死的要因の高いレクリエーションスポーツの中で,特に私的資格を主たる商品として事業を展開している業界が,圧倒的影響力を持つスクーバダイビングにおける死亡事故多発の問題と,その法的責任について考察しています.アウトドアスポーツ指導者の安全意識向上とそのための対策立案,および被害者救済のために役立つことを願うものであり,スポーツ法の研究者,ダイビング事故に関わる公的組織の方々,アウトドアのレクリエーションスポーツ,特にダイビングの事故に遭われた被害者の方々の法的救済の道を開くために活動されている法曹関係者の方々にとって何某かのお役に立てれば幸いです.

目次

  • ダイビングの事故・法的責任と問題

    ― 目次 ―

    第1章 安全性問題
    1.ダイビングの安全性の検証
    (1)交通事故との死亡率比較
    (2)ラグビー競技者とダイバーとの死亡リスク比較
    2.エントリーレベル(オープンウォーターレベル)講習における事故の発生率
    3.ダイビングビジネスが「虚構の安全」を必要とする理由
    (1)売上高増加指数
    (2)マリンスポーツにおける事故の実態
    (3)1999年(平成11年)におけるスクーバダイビングの事故の実態
    (4)イメージコントロール
    (5)ダイビング業界の組織形態

    第2章 資格商法としてのスクーバダイビング
    1.レクリエーションスクーバダイビング業界
    (1)ライセンス(民間資格)販売というスクーバダイビング業界の特色
    (2)指導団体の事業規模
    (3)指導団体の事業手法の考察
    (4)独占による選択肢の制限
    (5)P型事業モデルの成功
    (6)業界形態の危惧
    (7)ダイビング業界の成功要因の総括
    2.致死性スポーツにおける資格商法展開の問題

    第3章 ダイビング事故の事例研究
    1.1999年中,日本国内事例紹介
    2.事故内容分析
    3.注意義務の及ぶ人数の限界の検証
    (1)事故概要17例
    (2)静かなる事故
    (3)適性人数比較検討表
    4.17の事故例に見る適性人数比の試算
    5.海外事故概況
    (1)アメリカおよびその周辺地域の死亡者数
    (2)イギリスにおける死亡者数
    (3)フランスの事故における死亡者数の推定
    (4)海外における日本人の事故事例(1993年〜1999年)
    (5)日本と海外の事故遭遇比率比較
    (6)DAN JAPANの保険金支払い事例から見るCカード保持者の事故の実態

    第4章 安全配慮義務
    1.刑事責任についての判例研究
    (1)アドバンスコース講習時における講習生死亡事件
    (2)サバチ洞窟事件
    (3)カスミ根事件
    (4)潜水から浮上した者がモーターボートと接触して死亡した事故につき,モーターボート操縦者の過失が否定された事例
    (5)ニセコ雪崩事件
    (6)判例研究をもとに考察する実際の事故例(私見)
    (7)1のまとめ
    2.民事責任についての判例研究
    (1)スキューバダイビングの参加者が海洋に転落して溺死した事故
    (2)神奈川県スキューバダイビング漂流事件
    (3)ダイビングツアー中ボンベ(タンク)爆発負傷事件
    (4)越前沖沈船ダイビング事件
    (5)五竜遠見雪崩事件
    3.過失の構成要素についての研究
    (1)刑事
    (2)民事
    4.バディの法的責任
    (1)致死性の高さに対する社会的共有認識
    (2)バディによる不法行為
    (3)バディの法的制御
    5.指導団体の法的責任
    6.法的問題
    (1)被害者と事業者の間の法的力関係
    (2)スクーバダイビング業界のビジネススタイル
    (3)『The Law and Diving Professional』
    (4)日本での危険の引き受けによる違法性阻却とレクリエーションダイビング

    第5章 免責同意書問題
    1.危険の引き受けと免責同意書
    (1)アメリカにおける免責同意書
    (2)日本における免責同意書の内容
    2.責任回避のための組織形態
    (1)モデルケース概略図
    (2)事業者側のみの免責
    (3)指導者団体が持つ「免責同意書」の意識
    3.P型免責同意書の内容とその実効性の妥当性
    (1)日本
    (2)海外の状況
    (3)不当条項リスト
    (4)講習の契約をした事業者に対しての考察
    4.指導団体の責任
    5.合理的な免責同意書とは

    第6章 消費者のダイビング事業者とのトラブルの実際
    1.国民生活センターへの相談
    2.ダイビングショップが不良器材をレンタルする問題
    3.ケーススタディ:問題あるダイビング事業者の営業実態についての調査事例の紹介
    (1)調査事例
    (2)おとり広告
    (3)自分自身による直接確認

    第7章 人為的事故を防ぐための考察
    1.事故を生む要因と提案
    (1)法的平等性の確保
    (2)善良なインストラクターの保護
    2.今後に向けた提言
    3.同好会などで使用する宣言書試案
    4.海上保安庁の遭難者捜査における今後の考察
    5.最後に

    資料1 フランスにおけるスクーバダイビングの国家資格(BEES)取得のための試験の仕組み
    資料2 免責同意書に関するアンケートの結果

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