“Nevus or Melanoma?”と題して行われた第98回日本皮膚科学会総会のCPCに集められた15症例に,さらに症例を加えてまとめられた書.悪性度が高いにもかかわらず,きわめて病理診断の難しいメラノーマについて,診断が問題となる31の症例を取り上げ,各症例ごとに臨床所見をふせた状態で複数のコメンテーターが組織標本を検討し,所見と診断について討論をたたかわす形式となっている.読者は,コメンテーター間の白熱した議論を追体験できるだけでなく,所見の認識と解釈の多様性に触れることもできる.さらに,メインコメンテーターとして参加したメラノーマの組織診断の世界的権威であるA. B. Ackerman氏の核心を突くコメントと卓抜な診断能力に大いに啓発されるであろう.メラノーマの病理組織診断の要諦をリアリティーをもって習得できるきわめてユニークな書.