多くの先進的な医療には輸血が不可欠の要素となっている。医療の進歩に伴って様々な工夫が施された結果、輸血用血液はその安全性が向上し、使い勝手のよいものとなってはいる。一方、輸血用血液の使用を決めるのは臨床家であるが、輸血のことを熟知している臨床家はごく少数であることは、内外を問わず同様であるらしい。最近、英国の輸血専門家から聞いたことであるが、わが国同様、医学生に対する輸血学の組織的な教育は十分ではないらしい。本書はそのような状況にある英国で、輸血を実践する臨床家向けに編纂された輸血の手引きといえる。