一般的にもむずかしい年齢と言われる2,3歳児の心の世界。運動能力やコミュニケーション能力の向上とともに自信が生まれ,一方で多くの挫折を経験する。高揚と落胆,喜びと怒り,悲しみといった極端な感情が入り交じるなか,子どもは大人の助けを借りながらも,自分という感覚を発展させていく。本書では,この時期の子どもの複雑な心の様子が,さまざまな場面の事例を通して,生き生きと描き出されている。また,その子どもに関わる大人の心のあり方を通して,子どもの心が理解されていく。子どもについての一般論とは違い,実際に子どもに関わり理解しようとするときに大きく役立つであろう。