境界性パーソナリティ障害(BPD)治療の基本は,患者の心理社会的機能を高めることを目的とした反復トレーニングを,家族の協力のもとに行うことである。本書では,患者が「治る」まで―つまり,DSMの診断基準に挙げられているような,不安定で激しい対人関係様式,見捨てられ不安,自傷や自殺企図といったBPDの症状が消失するのはもちろんのこと,その後も続く患者の抱える苦痛が,心理社会的機能の改善によって真に和らぐまで―に必要な治療構造や技法を具体的に詳述し,そこに至るまでの治療の道筋を示す。長年,多くのBPD患者を治療してきた著者による,BPDを「治す」ための知識と技術を纏め上げた珠玉の1冊。