人間関係は人にとって不可欠なものであるにもかかわらず、大変複雑でとらえがたい側面を持っている。そのため、ストレスの原因になったり、対人関係のこじれから精神的障害に至ることも多い。本書はそうした精神の臨床面に焦点を当て、また治療状況におけるクライエントとセラピストの人間関係をも視野に入れてまとめられている。その際、人間関係をその背後にある個人の心理や生育歴上の発達的問題に還元してしまうのではなく、人間関係そのものの特質を重視して論じることに力点を置いている。医療や教育に携わる人、あるいは人間関係そのものに関心を持つ人にとって大いに参考となるであろう。