本書には、DSM-5にある依存症・嗜癖関連障害の症例12例が提示され、診断と評価、治療の状況が描かれている。アルコール、カフェイン、大麻、幻覚薬、吸入薬、オピオイド、睡眠薬、抗不安薬、精神刺激薬、タバコ、ギャンブル、インターネットなど症例はバラエティに富む。わが国の「危険ドラッグ」に相当する物質の使用障害、覚せい剤(メタンフェタミン)使用と性的マイノリティとの関連、いまだ議論の多いカフェインをめぐる諸問題など日本では言及されていない問題に対しても分かりやすく記述されている。その意味で本書はアディクション問題の援助者にとっての必読書である。