本書で紹介するパニック焦点型力動的心理療法(PFPP)は、不安症に対する単一の治療法としての有効性が実証された、精神分析的基礎をもつ初めての心理療法である。PFPPは精神分析的概念を採用し、その実践に活用してはいるが、専門化した精神分析療法とは一線を画している。つまり、PFPPは精神分析的な訓練を受けなくても、より簡便なトレーニングを受けることによって実戦可能になるということである。本書ではパニック焦点型力動的心理療法の重要性から、治療法、さらにはこの治療法が適用可能な領域まで論旨を拡げていく。精神力動学を専門とする方にも、生物学的精神医学に携わっている方にも、本書がパニック症という病気の一側面の理解に役立つことが監訳者・訳者の願いである。