人間の言語機能の背景には,高次な脳の機能を支える皮質連合機能があることが,脳・神経科学の展開により明らかになっています.本書はそれらの知見に基づき,失語症を失行症と同様に「高次脳機能障害」の別の病態として捉え直し,その分析と具体的な治療方法を解説しています.絵カードと対話を使った具体的な言語訓練の方法を説明し,巻末の解説では同様に絵カードと対話を使った「失行症」の訓練も紹介しています.言語聴覚士だけでなく,理学療法士・作業療法士の臨床においても新しい視点と臨床の手がかりを提供してくれる一冊です.