糖尿病は、身体がインスリンを失ったためではなく、グルカゴンをコントロールできなくなった結果である。本書は、糖尿病発症の従来の考えを整理しつつ、さまざまな実験を通して明らかになってきたホルモン・グルカゴンの血糖上昇に及ぼす影響をその作用機序からわかりやすく解説。インスリンの欠乏が糖尿病の唯一無二の原因とみなされてきたこれまでの常識を大きく覆し、糖尿病の病態理解にパラダイムチェンジをもたらす画期的内容。今まで「インスリンドグマの壁にはばまれて姿の見えなかった真犯人がグルカゴンである」という未だかつてどの教科書にも書かれたことのない糖尿病の地殻変動を解説する。グルカゴンをターゲットにした治療薬の臨床試験の足音がすぐそこまで聞こえてきている。