精神科医として生きる -診察室の人間学-

出版社: 金芳堂
著者:
発行日: 2024-06-20
分野: 臨床医学:内科  >  精神医学
ISBN: 9784765320030
電子書籍版: 2024-06-20 (第1版第1刷)
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商品紹介

精神科医の仕事を細く、長く、少しばかりエキサイティングに続けるための珠玉のメッセージ
本書は、長年精神科医として勤め、精神科医という仕事に魅力を感じ、今もなお日々邁進し続ける著者が、悩める精神科の若手医師や研修医に向けて、自身の経験をもとに、精神療法(精神科面接など)の身につけ方や進め方、精神病理学の学び方、そして精神科医自身のメンタルヘルスの保ち方などを紹介した1冊です。

目次

  • 第一章 精神療法の技術
     精神科医初日に驚嘆すべきことが起きる
     技術は精神科医を作らない
     患者が未熟者を精神科医に育てる
    「技術の指導」もまた必要
     保険診療の時間的制約を利用する
     もっとも必要な技術は、優先順位と取捨選択
     私はそもそも薬物療法をあまりしていない
     精神科医の面接は音楽
     精神科面接とピア・モニタリング
     面接の流れのコントロール
     労力対効果のための予習・復習
     医師は予習・復習が得意
     予習・復習は面接のシミュレーション
     自信を支えるのはコントロール感覚
     予習・復習は孤独な作業
     アートとしての言葉
     精神医学者と精神科医は別
     精神科面接には訓練がいる
     まずは生活習慣から入るべきだが……
     縦軸・横軸・時間軸
     生活習慣と睡眠日誌
     言葉の賞味期限は7日
     睡眠に関する訴えには誇張が混じる
     ワンパターンのフレーズを用意しておく
     若年者に対する指導
     高齢者に対する指導
     生活習慣の修正が困難な職種
     アルコールの問題
    「精神科医なのだから療養指導などと言うな」
     生活習慣への介入は人間の理解あってこそ
     精神科医は患者にとって1,000分の1の存在
     生活習慣を整えづらくするのも生活習慣
     生活の維持と健康な習慣
     精神療法とデリカシー
    「神経症とは啓蒙書がみせびらかすほど猟奇的な病気ではない」
     成功は生育歴とは無関係
     低侵襲精神療法をこそ
     医療・福祉サービスを提案できれば、それも立派な精神療法
     オープン・クエスチョンの連発に神通力はない
     傾聴だけでは「精神療法」の要件を満たさない
     受け身の精神科面接からの脱皮を
    「指示、助言」は明示的でなくてもいい
    「指示、助言」は意図して行わなければならない
     精神科面接はお悩み相談の延長ではない
     技法にあわせるのでなく、個人にあわせる
    「大精神療法」の適用範囲は狭い
     保険診療に即した「指示、助言」
    「精神療法」の定義を広げる
     人間学派の精神療法
     日常診療のなかにこそ精神療法はある

    第二章 精神病理をどう学ぶか
    I.精神病理学とは
     精神病理学とは論理を展開すること
    「読書」でなく「勉強」を
     好事家が得意なのはチャット
    “So what?” “Why so?”
    「すなわち」と「なぜなら」
     書くこと、語ることを意識する
     精神病理学はラングエッジ・アーツ(言語技術)の学
     パラグラフ・ライティング
     論理構成とは起承転結のことではない
    「いきなり勝負」型の論理

    II.精神科医として精神病理学を専攻するとは
     精神病理学者の生活
     精神病理学に基づいた症例検討会
     精神病理学は精神療法に寄与するのか?
    「メランコリー親和型」神話への疑問
     弱者の対処行動としての罪責念慮
     疑問を感じたら本を書く
     自治医大精神科の理論と臨床
     精神病理学は何から勉強していくか?
     安永浩のファントム空間論
     精神病理学の系譜
     精神科医の人生から学ぶ
     精神科医の思想から学ぶ
     精神科臨床と世界観
     精神科医の人と思想
     青木省三の『精神科臨床ノート』
     思想家としての北山修

    III.哲学などの学び方
     哲学などをどう学ぶか
     心身問題から哲学に入る
     ヒトはいかにイカに似ているか? 医科学的人間観
     モノ的人間観から流転的人間観へ
     大森荘蔵から心の哲学へ
     兼本浩祐における心身問題
     木村敏からハイデガー、宗教学へ
     人間の学は哲学だけではない
     レジリエンスの学としての宮本民俗学
     生きるとは可能性の限界を試すこと
    『忘れられた日本人』から『日本残酷物語』まで

    第三章 精神科医のメンタルヘルス
     職場は友情を育む場でもある
     マイ・メンタルヘルス・ファースト

    モノローグ 我が精神科医人生のあけぼの
     精神科医という職業があるらしい
     高校時代に未来の職業を考える
     島崎敏樹『生きるとは何か』
     とりあえず医学部を目指す
     青葉萌ゆる杜の都へ
     バブル前夜のおおらかな時代
     仙台の医学生は授業に出なかった
     みすず文化から精神医学へ
     宮本忠雄『精神分裂病の世界』
     宮本忠雄の主宰する医局へ
     わが修業時代

この書籍の参考文献

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文献

P.136 掲載の参考文献
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井原裕 (2009) 『激励禁忌神話の終焉』 日本評論社.
井原裕 (2011) 「いけないことではない. でも触れてはいけない-精神療法の侵襲性について-」『精神科治療学』26, pp.323-326.
井原裕 (2013) 『生活習慣病としてのうつ病』弘文堂.
井原裕 (2015) 『うつの8割に薬は無意味』 朝日新聞出版.
井原裕 (2016a) 『うつの常識, じつは非常識』ディスカバー・トゥエンティワン.
井原裕 (2016b) 「安永浩のファントム空間論-隠喩としてのスキー」『精神科治療学』31, pp.791-795.
井原裕 (2023) 「古典『精神科医島崎敏樹 人間の学の誕生』」『精神科臨床Legato』9, pp.114-117.
牛島定信 (2000) 「精神医学における精神療法の訓練」『精神療法』26, pp.121-124.
大森荘蔵 (1971) 『言語・知覚・世界』岩波書店.
大森荘蔵 (1981) 『流れとよどみ』産業図書.
大森荘蔵 (2015) 『物と心』筑摩書房.
大森荘蔵 (2021) 『新視覚新論』講談社.
笠原嘉 (1980) 『予診・初診・初期治療』診療新社.
笠原嘉 (2013) 「『全体の科学』のために」『笠原嘉臨床論集』みすず書房.
兼本浩祐 (2011) 『心はどこまで脳なのだろうか』医学書院.
兼本浩祐 (2016) 『脳を通って私が生まれるとき』日本評論社.
神谷美恵子 (1966) 『生きがいについて』みすず書房.
神谷美恵子 (1982) 『日記・書簡集』みすず書房.
神谷美恵子 (2005) 『遍歴』みすず書房.
カロッサ (著), 国松孝二 (訳) (2012) 『指導と信従』岩波書店. (Carossa H (1933) 『Fuhrung und Geleit』Suhrkamp)
神田橋條治 (1990) 『精神療法面接のコツ』岩崎学術出版社.
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木村敏 (1970) 『自覚の精神病理』紀伊國屋書店.
木村敏 (1972) 『人と人との間』弘文堂.
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木村敏 (1982) 『時間と自己』中央公論社.
木村敏 (2006) 『自己・あいだ・時間-現象学的精神病理学 (ちくま学芸文庫) 』筑摩書房.
島崎敏樹 (1960) 『心で見る世界』岩波書店.
島崎敏樹 (1974) 『生きるとは何か』岩波書店.
島崎敏樹 (1977) 『病める人間像』講談社.
島崎敏樹 (1952) 『感情の世界』岩波書店.
島崎敏樹 (2002) 『人格の病』みすず書房.
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土居健郎 (2000a) 『土居健郎選集 4 精神療法の臨床』岩波書店.
土居健郎 (2000b) 『土居健郎選集 5 人間理解の方法』岩波書店. (土居健郎 (1977) 『方法としての面接-臨床家のために-』医学書院)
友田不二男・伊東博・堀淑昭・佐治守夫, ほか (編) (1966-1968) 『ロージァズ全集』 (3, 5, 7, 8, 16巻に収録) 岩崎学術出版社. (Rogers CR (1951) 『Client-centered Therapy』Houghton Mifflin)
中井久夫 (1982) 『精神科治療の覚書』日本評論社.
中井久夫 (2010) 『日本の医者』日本評論社.
中井久夫 (2013) 『分裂病と人類』東京大学出版会.
中島義道 (1995) 『哲学の教科書-思索のダンディズムを磨く』講談社.
西丸四方 (編) (1974) 『臨床精神医学事典』南山堂.
西丸四方 (1989) 『精神医学の古典を読む』みすず書房.
西丸四方 (1991) 『彷徨記-狂気を担って』批評社.
西丸四方・西丸甫夫 (2006) 『精神医学入門 改訂25版』南山堂.
信原幸弘 (編) (2017) 『心の哲学 新時代の心の科学をめぐる哲学の問い』新曜社.
深尾憲二朗 (2018) 「精神医学の哲学と精神病理学」 (書評『精神病理の形而上学』) 学樹書院.
三木清 (2013) 「哲学はどう学んでゆくか」『読書と人生』講談社.
宮本忠雄 (1977) 『精神分裂病の世界』紀伊國屋書店.
宮本忠雄 (1982) 『妄想研究とその周辺』弘文堂.
宮本忠雄 (1994) 『言語と妄想 危機意識の病理』平凡社.
宮本常一 (1960) 『忘れられた日本人』未来社.
宮本常一 (1978) 『民俗学の旅』文芸春秋社.
宮本常一・山本周五郎・揖西高速, ほか (監) (1995) 『日本残酷物語』平凡社.
宮本常一 (2004) 『村の若者たち』家の光協会.
宮本常一 (2005) 『日本文化の形成』講談社.
森一郎 (1997) 『試験にでる英熟語』青春出版社.
安永浩 (1992) 「分裂病症状機構に関する一仮説 (ファントム空間論について) 」『安永浩著作集 ファントム空間論』金剛出版, pp.133-164.
安永浩 (2000) 「ミレニアム回想」『土居健郎選集 2 月報 1』岩波書店, pp.6-8.
安永浩 (2002) 『精神科医のものの考え方-私の臨床経験から』金剛出版.
ヤスパース (著), 内村祐之・西丸四方・島崎敏樹・岡田敬蔵 (訳) (1953-1956) 『精神病理学総論 (上) (中) (下) 』岩波書店. (Jaspers K (1948) 『Allgemeine Psychopathologie』Springer-Verlag)
ヤスパース (著), 小倉志祥・林田新二・渡辺二郎 (訳) (2011) 『哲学』中央公論新社. (Jaspers K (1948) 『Philosophie II Existenzerhellung』Springer-Verlag)
渡辺雅子 (2007) 「日・米・仏の国語教育を読み解く-「読み書き」の歴史社会学的考察」『日本研究』35, pp.573-619.
Oakley B・Knafo A・Madhavan G・Wilson DS (eds) (2012) 『Pathological Altruism 』Oxford University Press.

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