感染症疫学のためのデータ分析入門 数理モデル編

出版社: 金芳堂
著者:
発行日: 2026-06-15
分野: 医学一般  >  医療統計学
ISBN: 9784765319973
電子書籍版: 2026-06-15 (第1版第1刷)
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商品紹介

本書は、好評を博した『感染症疫学のためのデータ分析入門』(2021年10月刊)の応用編として、数理モデルおよびネットワーク分析を体系的にまとめた続編です。前著で扱った基礎知識を踏まえ、「実際の観察データをどのように扱うか」という実践的な視点から、初学者にもわかりやすく解説しています。
内容は京都大学大学院医学研究科(公衆衛生修士コース)の講義「感染症数理モデル入門」に準拠しており、感染症の伝播能力の評価、閾値現象の理解、ワクチン効果の検証といった理論から、コンピュータを用いた流行モデルの数値計算や統計学的推定まで、単に読むだけではなく、章末の確認問題を解いていくことによって、着実に理解を深めることができます。
また、HPから本書に掲載されているサンプルデータおよびコードをダウンロードでき、読者が自らの手でデータを扱いながら、シミュレーションやデータ分析の実践的手法を身につけられるよう工夫されています。感染症数理モデルを体系的に学び、実務や研究への応用を目指す方にとって、必携の一冊となります。

目次

  • Part1 感染症数理モデルの必須方法論
    Chapter1 コンパートメントモデルによる感染症流行の記述
    本章の目的
    1 感染症流行のコンパートメントモデルの考え方
    2 SIRモデルによる流行の動的な記述
    (1)SIRモデルの定式化
    (2)基本再生産数
    (3)SIRモデルの適用例
    (4)状況に合わせた拡張・その1:人口動態の導入
    (5)状況に合わせた拡張・その2:感染性の変動の導入
    まとめ
    章末確認問題

    chapter2 異質性を捉えるサイエンス:次世代行列
    本章の目的
    1 基本再生産数の定義
    2 接触の異質性とWAIFW行列
    3 接触を規定するもの
    4 インフルエンザの予防接種
    5 次世代行列
    付録
    章末確認問題

    chapter3 複雑ネットワーク、集団免疫と最終規模:ランダムな接触と異質な接触
    本章の目的
    1 複雑ネットワーク
    (1)グラフ理論
    (2)ネットワークの指標
    (3)ネットワークの種類
    2 集団免疫と最終規模
    (1)ランダムな接触における集団免疫と最終規模
    (2)異質な接触を加味した場合の最終規模
    (3)異質性は集団免疫と最終規模へどのように影響する
    まとめ

    chapter4 モデルから次世代行列を導こう
    本章の目的
    1 モデルの次世代行列と基本再生産数R0
    (1)SEIRモデル
    (2)性感染症のモデル
    (3)地域間の移動を含むモデル
    まとめ
    付録 ベクトルと行列の計算公式
    章末確認問題

    chapter5 安定性分析に入門しよう
    本章の目的
    1 平衡解と基本再生産数R0
    (1)感染症のない平衡解
    (2)エンデミックな平衡解
    2 局所安定性
    (1)感染症のない平衡解
    (2)エンデミックな平衡解
    (3)ヤコビ行列
    3 大域安定性
    (1)感染症のない平衡解
    (2)エンデミックな平衡解
    まとめ
    章末確認問題

    Part2 流行モデルを社会実装する
    chapter6 流行時における基本再生産数の推定
    本章の目的
    1 基本再生産数と成長率
    (1)感染症流行のタイプ
    (2)流行初期における感染者数の指数関数的増加
    (3)成長率と基本再生産数の関係
    2 基本再生産数の推定
    3 最終規模の推定
    (1)基本再生産数と最終規模の関係
    (2)次世代行列を利用した最終規模の推定
    4 オイラー=ロトカの方程式と積率母関数の導出
    (1)オイラー=ロトカの方程式の導出
    (2)基本再生産数を推定するための積率母関数
    (3)積率母関数の利用:指数分布の例
    まとめ

    chapter7 発症間隔と世代時間の推定
    本章の目的
    1 はじめに
    2 発症間隔
    (1)発症間隔の特徴
    (2)発症間隔の量的推定
    (3)発症間隔の実用的な意味
    3 世代時間
    (1)世代時間の特徴
    (2)3種(内在的、後向き、前向き)の世代時間
    (3)時刻依存の世代時間に関する実践的な考え方
    (4)家庭内伝播データからの内的世代時間の推定
    まとめ
    章末確認問題

    chapter8 蔓延時(エンデミック期)における基本再生産数の推定
    本章の目的
    1 エンデミック状態の感染症
    (1)エンデミック状態を想像しよう
    (2)触媒モデル(catalytic model)
    2 集団免疫に満たないワクチン接種
    3 血清疫学データに基づく基本再生産数
    4 血清疫学データを用いた感染力の推定プロセス
    (1)年齢に独立な感染力の推定
    (2)年齢に依存する感染力の推定
    5 発展編:母体由来免疫や免疫の失活を加味しよう
    (1)母体由来免疫を加味したエンデミックデータの分析
    (2)免疫失活を加味した感染力の推定
    まとめ
    章末確認問題

    chapter9 小規模流行:確率過程で数理モデル化をしよう
    本章の目的
    1 感染症の伝播と確率論
    (1)なぜ感染症の流行動態は毎回違うのか?
    (2)マルコフ過程とコンパートメントモデル
    2 分岐過程と絶滅
    (1)ゴルトン・ワトソン分岐過程(Galton-Watson branching process)
    (2)感染の広がり方
    (3)絶滅確率
    3 出生死亡過程
    (1)出生過程
    (2)出生死亡過程
    (3)出生と死亡を伴うSIRモデル
    4 連鎖型二項過程
    (1)Reed-FrostとGreenwoodの流行モデル
    (2)En’koの流行モデルも検討してみよう
    (3)家庭内感染
    まとめ
    章末確認問題

    chapter10 空間的な流行拡大を捉えよう
    本章の目的
    1 感染症の空間的な伝播
    (1)空間構造を持つ数理モデル
    (2)空間的カップリングモデル
    (3)移動モデル
    2 メタ個体群モデル
    3 国際的な伝播を予測する数理モデル
    1)メタ個体群モデルを用いたリアルタイム予測
    2)実効距離を用いた輸入感染症のリスク推定
    まとめ
    章末確認問題

    chapter11 リアルタイムモデリング
    本章の目的
    1 リアルタイムモデリングの重要性
    2 致命割合の推定
    (1)粗計算における致命割合の問題点
    (2)時間の遅れを考慮したCFR推定モデル
    (3)個人別尤度を使ったモデル化
    3 人獣共通感染症アウトブレイクにおける基本再生産数の推定
    (1)人獣共通感染症のスピルオーバー
    (2)診断バイアスと基本再生産数の推定
    (3)継続するスピルオーバー
    4 実効再生産数のリアルタイム推定における観測打ち切り
    (1)ナウキャスティング
    (2)逆計算
    (3)現実のデータへの対応
    まとめ
    章末確認問題

    chapter12 蚊媒介感染症(マラリア・デング熱)の数理モデル
    本章の目的
    1 蚊媒介感染症の特徴とそのモデル化
    (1)数理モデルの視点から見た蚊媒介感染症
    (2)蚊媒介感染症の基本モデル
    2 Ross-Macdonaldモデルの導出
    (1)モデルの基本構造
    (2)感染力のモデル化
    (3)Ross-Macdonaldモデルにおける基本再生産数
    (4)Ross-Macdonaldモデルにおける定常状態
    (5)蚊の垂直感染のモデルへの影響
    3 蚊媒介感染症における疫学指標
    (1)基本再生産数
    (2)昆虫学的接種率
    (3)媒介蚊感染能
    4 マラリア休眠体による長期潜伏の考慮
    (1)マラリア原虫の長期潜伏
    (2)二極化した潜伏期間の数理モデル上の取り扱い
    まとめ
    章末確認問題

    chapter13 国境における検疫のモデル
    本章の目的
    1 はじめに
    2 これまでの検疫期間の決定論拠と問題点
    (1)クラシックな検疫期間の決定手法とコンセプト
    (2)クラシックな検疫期間の決定手法の問題点
    3 不顕性感染者を考慮した検疫期間の決定
    (1)感染性宿主の侵入を防止する効果
    (2)不完全な検疫と診断補助がある場合の検疫の効果
    (3)侵入者によって生じる2次感染者数の抑制効果
    4 侵入者によって引き起こされる流行に対する検疫の疫学的効果
    (1)流行の絶滅確率を利用したモデ
    (2)侵入者によって流行が引き起こされる確率の相対的減少
    5 流行観察の遅れを及ぼす検疫の効果
    6 応用方法
    まとめ
    章末確認問題

    chapter14 疾患別の数理モデル(季節性インフルエンザ、結核、HIV/AIDS)
    本章の目的
    1 季節性インフルエンザの数理モデル
    2 結核の数理モデル
    (1)結核の内的動態を捉えた数理モデル
    (2)インターフェロンガンマ遊離アッセイを利用した年間感染リスクの推定
    3 HIV/AIDSの発展型逆計算モデル
    まとめ
    章末確認問題

    章末確認問題 解答編
    あとがきにかえて:もっと感染症数理モデルを学ぶ人のために
    索引
    著者略歴

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