本書は一般臨床医、研修医、看護師、臨床心理士、ケースワーカーなどを対象として、がん診療にあたる専門医がどのような説明をしているか、どのように伝えているか、患者や家族をどのように支えようとしているかを知ってもらい、チーム医療の実践に役立てることを目的としている。本書を手にとられた方がすぐに気づかれるように、本書には「索引」がない。それは本書の性格から自明のことであるが、本書がたとえば「遠隔転移」という項目を引いて「進行食道がん」「進行結腸がん」「切除不能結腸がん」「再発直腸がん」「再発肝臓がん」「切除不能胆嚢がん」「切除不能膵がん」……の「遠隔転移」の項目を拾い読みするものではないと考えるからである。その代わりに目次の項を精細に、見やすく作り直し、たとえば「再発食道がん」の「告知を希望していないとき」なら、その項を直ちに開くことができるように、「支えるためにどのようなことが必要か」ならその項をただちに読めるようにした。(「序」より)