精神医学　その基盤と進歩

本書は書名『精神医学―その基盤と進歩―』が示すごとく、精神医学の本質的基盤と最近の著しい進歩の両者に視点をおいて執筆され、編集されたものである。精神医学には身体医学と比較して、日進月歩の勢いで進歩発展している分野があると同時に、古くから繰り返し論じられてきた基本的な分野がある。それは精神医学が精神現象を問題にしているからにほかならず、また精神医学という学問の方法論を問うことと関連している。例えば近年、EBMということがよくいわれるが、身体医学ではそれが問題なく十分通っても、精神医学ではそれをそのまま鵜呑みにするわけにはいかないこの学問独特の事情があるのではないだろうか。それが一体何なのか、このような問題意識のもとに上記のごとく二つの視点を視野に入れながら本書は編集されている。