ここ数年来「医療崩壊」という言葉が報道機関を通じて流布され、多くの人が、日本の医療が危機に瀕していると誤解したのではないかと思います。しかし現実には、毎年、医療費は1兆円規模で増加し続け、平成24年度には40兆円を超える勢いであり、1病院当たりの医療収入は増え続けています。
これだけの収入拡大がある中で、なぜ病院の中には累積赤字が増え、それを理由に閉鎖に至るものがあるのでしょうか? また、世の中では病院の経営問題は、診療報酬などの制度問題に直結して理解されていますが、本当にそうなのでしょうか?
この書は、この問題に対して、基本的な状況を数値で示しつつ、病院の「経営力」という視点から世の定説とは異なる回答を示し、その改善の処方箋を提示することを狙いとしているものです。