遺伝学は分子から集団までのいろいろなレベルにおける遺伝現象の法則性を取り扱い,生物科学の基礎である。特に,核酸塩基配列決定法の改良,組換えDNA技術の進歩,コンピュータ解析の導入などを通して,分子遺伝学が飛躍的発展を遂げつつあり,ミニ・レボリューションとも言われる時代を迎え,その重要性はさらに増大している。本書は,こうした現代遺伝学を正確に理解させるために書かれたもので,一般遺伝学,集団遺伝学,分子遺伝学の3部に分け,多くの模式図や写真を用いて,バランスよく簡潔に紹介してある。また,いくつかのトピックスや遺伝学上の技術,論争点などを読み物として採り上げたほか,各章末に練習問題を付して内容の理解を助けるようにしてある。大学の生物学,化学,農学,薬学,工学,医学等の各学部へ進む学生にとって適切な基礎的テキストである。