複数の理論的方向性を持つ医療現場の多職種を協働に導き,システム理論を基盤として患者と家族の精神的健康と身体的健康を架橋する実践として誕生した「メディカルファミリーセラピー」 健康や人間関係の問題はすべて,生物学的,心理学的,社会的性質を帯びている。メディカルファミリーセラピーの背後にあるこの仮定において,患者は家族との関連でとらえられ,医療提供者はより大きなチームや医療システムとの関連でとらえられ,すべての人がより広い地域社会や文化との関連でとらえられる。医療において失われやすい患者の自立性と絆のバランスを再構築し,専門家と患者・家族の良好なコミュニケーションを橋渡しするための多様な臨床戦略を提示,遺伝医療や不妊治療など医療環境の変化,医療政策・財政の構造転換も視野に入れた,医療における新たな専門家の役割を示す。