心理検査から理解されたことをどのように関係者に伝達するかは非常に重要な課題である。本書では,一方でロールシャッハ反応の読み方を懇切丁寧に解説して,読み取り技法の指導書を目指しながら,一方で解釈を基にした所見のまとめ方,報告書の書き方に多くの紙面を割いている。また,一事例の所見について論じながら,随所に所見の書き方一般についてのコラムが挿入されている。第3部のディスカッションでは,所見の書き方や口頭での伝え方について,心理検査の報告の際に大抵の人が迷うような課題が網羅され,課題への対処法についても沢山の知恵が提供されており,多くの臨床心理専門家の役に立つであろう。