「自我とは何だろう?それは,内側の「私」という認識である。それは,あるときには仕事に集中したり,あるときには遊びごころをもって笑ったり,あるときには痛みを感じたり,またあるときには感情や反応において論理的でなかったりする,そんな「私」のことである。我々はそれぞれ,自分に特有の自我状態,つまり体験を通じて形成されてきた自我状態で,自分自身の自我を体験しているのである。」
本書では,クライエントの潜在意識に存在する,未解決な問題やトラウマを抱えた自我状態に迅速にアクセスし,励まし,回復のために自我状態間のコミュニケーションを促進する,力強い自我状態療法のテクニックを紹介している。実際のダイアローグから,クライエントの反応に対する働きかけや,症状に合わせた展開を学ぶことができる。そして自我状態療法のテクニックは,身につけることでセラピーの幅が広がるだけでなく,セラピストにとっての自己発見の機会ともなる,重要な知見である。