筆者は、日々の発達障害児教育実践の中で、発達に障害をもつ子どもの生命の維持、日々の生活を営む上で必要な事柄と、さらには高度な知識や技能・技術などの習得のための援助を、教育の視点からの支援だけでなく、心身の総合的支援として捉えてきました。発達障害児への発達支援は、単にこの部分は医療の問題、療育の問題、教育の問題と一元的な見方をするのではなく、さまざまな視点から多元的、総合的な支援を考えることが不可欠ですし、このことで発達障害児の発達をより円滑で効果的に、潜在的な能力を開花させ、また将来的展望をもって促すことができると考えます。このような思いから、医療と療育、教育といった質の異なるシステム領域をあえて同じ視野の中に入れるための試みとして、本書を企画しました。(「まえがき」より)