著者はFORTRAN時代を垣間見、BASICによる自作のプログラムを経て、いくつかのパソコン用の市販ソフトを用いてきました。今日ではプログラミングの知識がなくても使えるさまざまな統計専用ソフトが作られていますが、ワープロや表計算ソフトに比べれば個人で所有するには高額なものが多く、使いこなすのに時間もかかります。いざ使ってみると必要な解析手法が含まれていなかったり、翻訳が不適当でマニュアルの説明が難解だったり、解析結果の見方がわからなくてレフリーに指摘された個所が確認できなかったりと、いろいろな問題が発生します。どんな統計ソフトを選べばよいのか困惑している研究者の方々に、著者の経験を少しでも役立てることができたら、というのが本書執筆の動機です。前著「医薬研究者の視点からみた道具としての統計学」(金芳堂、2001年)では、基本的な統計手法を、データ整理に広く用いられている表計算ソフト、Excelの関数を用いて解説しましたが、本書ではいくつかの市販の統計ソフトの機能や特徴をExcelと比較することにより「Excelの次に用いる統計専用ソフト」を選ぶ指針を示しました。(「はじめに」より)