歯周病が細菌感染症である以上、時に抗菌療法も選択される現実がある。一方で、臨床現場では歯周病の起因菌情報は限られている。本書は感染症の再考(第 I 部)を勧め、抗菌薬の知識の整理(第 II 部)と使用効果の文献検証、歯周抗菌療法(第 III 部)をかなり踏み込みつつ、わかりやすく解説。科学的根拠なき投薬で耐性菌を増やす結果にならないよう、歯周治療従事者に感染症、細菌、抗菌薬の3軸からなる三次元的基礎的理解の必要を説く。
目次
歯周抗菌療法―感染症医的な視点から―
―目次―
第I部 感染症学
第1章 医科における感染症治療のコモンアプローチ
CASE 1 細菌性髄膜炎という緊急事態
CASE 2 肺炎という亜急性事態
CASE 3 副鼻腔炎という余裕の事態
コラム de 感染症(1) 肺炎球菌について
コラム de 感染症(2) 細菌検査という名の犯人探し
第2章 感染症の再考
1. 細菌の暴動(感染の成り立ち)
2. 歯周病菌を議論する前に
3. 歯周病菌は常在菌なのか,病原菌なのか
4. 日和見感染(oppotunistic infection)という考え方
5. スーパーインフェクション(super infection)とは?
6. 歯周病におけるウイルスの役割
7. 話のすり替え?
コラム de 感染症(3) 内因性と外因性の境界線
第3章 臨床細菌学概論
1. グラム染色って今でも大事?
2. グラム陽性菌とグラム陰性菌
3. 球菌と桿菌
4. 好気性菌と嫌気性菌
コラム de 感染症(4) グラム染色