本書『ロジャーズを読む』は,ロジャーズの数ある著作の中からもっとも重要ないくつかを取り上げ,その内容を紹介すると共に批判的検討を加えていったものである。その際,ロジャーズには<実践家ロジャーズ>と<理論家ロジャーズ>と<思想家ロジャーズ>という3つの側面があるとの前提に立ち,各々の側面ごとに重要な著作を選定していった。したがって本書を読めば,ロジャーズの思想と理論と実践とを含んだ全体像を,そのいずれにも偏ることなく,しかも彼の著作そのものと密接なつながりをもって知ることができるようになっている。この意味で本書は,これからロジャーズおよびクライアント中心療法を学ぼうとされている方々,また現在学びつつある方々にとって,格好の入門書となるはずである。ロジャーズの世界に歩み入るための最適なガイドブックと言ってもよいであろう。