医療・ケア従事者のための 哲学・倫理学・死生学

出版社: 医学書院
著者:
発行日: 2022-03-31
分野: 医学一般  >  医学一般
ISBN: 9784260049467
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商品紹介

臨床では、常に「どうしたらよいか」を判断する場面に出合います。状況を適切に把握し、的確に実行に移す力が医療・ケア従事者に求められているのです。

自らの実践を振り返り、ケアする姿勢と専門的知識や個別状況を把握し整理するために。哲学と倫理学、そして死生学の新しい扉が開きます。

目次

  • 序 人間の行動と言語
     第1章 医療・ケア活動のために必要な力
      1 人間の選択・行動の構造
       1)〈状況に向かう姿勢〉+〈状況把握〉⇒ 選択・行動
       2)臨床における行動の分析への適用
       3)医療・ケア活動の構造分析への適用
      2 状況把握 医療・ケアに必要な力(1)
      3 状況に向かう姿勢 医療・ケアに必要な力(2)
     第2章 言語と世界
      1 ことばの〈意味〉をどう理解するか
       1)言語ゲーム
       2)語の意味はその用法
      2 分類:類 ‒ 種関係
      3 言語の「語ることで働きかける」機能
       1)事実を記述する発話と行為を遂行する発話
       2)遂行的発話の2つの区別(オースティン)
       3)事実の記述のような形だが,遂行的なもの

    第1部 事実と論理
     第3章 事実
      1 現在の直接明らかな事実
       1)言葉の使い方・会話の成立に注目するアプローチ
       2)現象として見る(それ以上の判断はしない)
       3)直接明らかな他者の思い
      2 現在の直接明らかではない事実の主張
       1)遠方にある/ものの陰にある事物についての言明
       2)小さ過ぎる事物についての言明
      3 時間的に離れた時点における事実の主張
       1)過去の事実についての言明
       2)未来の事実? についての言明
      4 可能性・必然性・偶然性
     第4章 論理
      1 〈言明〉の論理構造
       1)ある個体を指して何かを述べる言明
       2)普通名同士の関係を述べる言明
       3)言明の主語・述語,量と質
       4)1つの言明に基づく換質・換位による推理
      2 複数の〈言明〉の間の論理的関係
       1)1つまたは2つの言明から作られる言明の真偽
       2)p→qの逆・裏・対偶
       3)p→qと必要条件・十分条件
       4)2つの言明の組み合わせから第3の言明を結論する
      3 行動をもたらす論理
       1)実践的三段論法
       2)両刀論法(ジレンマ:dilemma)
       3)ジレンマと実践的三段論法
     第5章 科学的知識
      1 世界についての知識と科学的知識
       1)知識
       2)科学的知識
      2 科学的事実を見出す方法
       1)現象と帰納法
       2)観察された事実(現象)に基づいて,観察できない機序を推測する
       3)科学的探求において前提されていることのうち,もっとも基本的なものは確認されず,
         ただ信じられているのみかどうか

    第2部 市民の倫理/医療・ケア従事者の倫理
     第6章 人間の行動と知・情・意
      1 情と選択・行動
       1)快・不快と情の働き
       2)情が人を選択・行動へ向けること
      2 理による情の陶冶⇒意志の成立へ
       1)感情の陶冶のプロセス
       2)ケアする姿勢の発現と成長
       3)意志の成立
     第7章 社会的要請としての倫理
      1 倫理とは何か
       1)倫理を定義する
       2)倫理とその周辺
      2 倫理原則だけでは〈倫理的に適切な行動〉は決まらない
      3 倫理的に適切な選択・行動の成り立ち
     第8章 倫理の成り立ちと広がり
      1 倫理の構造と起源:〈皆一緒〉と〈人それぞれ〉
      2 個人間の対応における姿勢は,人間関係の遠近に相対的
      3 倫理は社会のあり方にも反映する〈社会倫理〉
      4 医療・ケアに従事する者への社会的要請
       1)日本における国による医療・ケア事業
       2)医療におけるさまざまな社会的要請(倫理)のあり方
     第9章 医療・ケア従事者の倫理
      1 3倫理原則論:〈皆一緒〉と〈人それぞれ〉のブレンド
      2 倫理原則をめぐるさまざまな立場
       1)ビーチャム & チルドレスの4原則論
       2)フライ & ジョンストン:4+2原則とケアリングの並存
       3)倫理原則の性格:行為志向か姿勢志向か
      3 倫理原則各論
       1)人間尊重と自律尊重
       2)与益原則
       3)社会的適切さ原則
      4 倫理的に適切な医療・ケアの選択・行動の構造
       1)倫理的姿勢と医療・ケアの選択・行動
       2)倫理原則と倫理的姿勢
     第10章 ケアと徳の倫理
      1 ケアする姿勢──医療者(看護職者)の倫理の起源
       1)ケアとは
       2)ケアの倫理の起源
      2 〈ケア〉ということ
      3 〈徳〉の倫理
       1)〈徳〉とは
       2)徳の倫理
      4 優れた医療・ケア従事者の卓越性の核心にあるケアする姿勢
       1)優れた医療・ケア従事者
       2)ケア・スピリット

    第3部 臨床の倫理
     第11章 最善を目指すということ
      1 〈いのち〉の2つの層──生物学的生命と物語られるいのち
      2 クオリティ・オブ・ライフ=QOL
       1)QOLとは何か
       2)医療の目標と身体環境
      3 益と害のアセスメント/相応性原則
     第12章 意思決定プロセス
      1 インフォームド・コンセントと説明 ‒ 同意モデル
      2 情報共有 ‒ 合意モデル
       1)決定の分担論から共同決定論へ
       2)情報共有 ‒ 合意モデルが伴うもの
      3 合意を目指す検討:意思決定支援のプロセス
       1)医学的妥当性の判断
       2)本人の人生と価値観⇒個別の意向
       3)本人の人生・価値観による最善と医学的妥当性の間
     第13章 臨床の倫理的事例検討
      1 ジレンマの把握をベースにした検討
       1)倫理的ジレンマに対する対処の基本(ジレンマ構成法)
       2)ジレンマのさまざまなタイプ
       3)ジレンマが解消しない場合
      2 臨床倫理検討シートを使った検討
       1)事例提示シート
       2)益と害のアセスメントシート
       3)カンファレンスにおける検討とカンファレンス用ワークシート
       4)モデル事例の検討

    第4部 人間の生と死
     第14章 死生の文法と文化
      1 〈死〉の理解
       1)日本語における死の語り方
       2)身体の死と人の死の二重の把握
      2 死とはどういうことか:死者の世界の成立
       1)〈別世界移住〉の思想
       2)死の説明の諸系譜とその並存
     第15章 死に向かって生きる人間
      1 死に向かう心
       1)死に直面する者の〈希望〉
       2)死を受容するということ
      2 人生の終りに向かう意思決定・心積りとその支援
       1)厚生労働省ガイドライン2018改訂版が示す意思決定プロセス
       2)さまざまな意思決定支援
       3)ACPの成果物
     第16章 エンドオブライフ・ケア
      1 〈エンドオブライフ・ケア〉とは
       1)ターミナル・ケアからエンドオブライフ・ケアへ
       2)生と死の並存とEOLCが目指すこと
      2 死に至るまでできる限り良く生きるために
       1)人生のために生命を支える
       2)人生にとって最善の選択肢が縮命を伴う時
      3 死に至るまで尊厳を保つために
       1)尊厳と尊厳ある死
       2)スピリチュアル・ケア:尊厳を保つことを目指して

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