初版以来25年にわたってご愛用されている好評の精神医学の教科書が9年ぶりに全面改訂.近年の精神医学は,神経科学や画像技術の急速な発展と,新しい抗精神病薬や抗うつ薬などによる薬物療法の進歩など,生物学的精神医学の著しい発展をみている.また心理社会的精神医学の領域では,新しい精神療法の創成や治療形態の改善,精神保健行政を含めた社会的対応による精神障害の予防や社会復帰の促進など,患者のQOL向上のためのより適切な方策が工夫されてきている.さらに,昨今の社会環境の急激な変化は,精神障害の症状の変遷ををもたらしており,現代の精神医学の果たすべき役割は多岐にわたり,かつ重要性を増している.診断分類は,米国の精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM)をDSM−・の本文改訂版であるDSMー・ーTRに替え,精神分裂病の名称は,日本精神神経学会の決定に従って統合失調症とし,各論の章立ては国際疾病分類ICD10に従っている.