本書の親本となる“ストライヤー生化学”が,最新の分子生物学,細胞生物学の成果を踏まえながら,分子の構造と機能とに視点をおいて各領域の生命現象を論じているのに対して,生化学ショートコース用教本として執筆された本書は,生体内の生化学プロセスのしくみを概説するとともに,生化学プロセスの重要性をより深く理解できるように,すべての章で“病気をより深く理解する”あるいは“生物をより深く理解する”の節を設けて,そこにかかわっている生化学反応の小さな変化が生命の営みにいかに大きな変化をもたらしているかを例示している。加えて,代謝についての包括的理解を深めるために,いかにうまく代謝経路の制御がなされているかを解説している。