大きな反響を得た前著『抗うつ薬の功罪』につづく渾身の告発であると同時に、第一級の精神医学史研究たりえている重要作。双極性障害─かつて「躁うつ病」と呼ばれ、けっして多くはなかった障害─が、昨今はなぜか身近な病気になりつつある。うつ病患者や小児も巻き込んで、すでに米国では深刻な医療ハザードを生んでいるこの状況の背景には、「気分安定薬」の市場拡大を狙う製薬産業のマーケティングと、精神医療の視線自体の変質が……。著者は双極性障害をとりまく事実と虚構、そして、「双極性(バイポーラー)」概念の濫用が広がる最新の様相を明らかにする。