本号は,昨年12月に開催された第23回学術集会ちば大会の特集号です。掲載された特別講演,国際招聘講演,大会企画シンポジウム,関連論文を改めて読ませていただくと,この大会はまさに日本の子ども虐待関連分野の「エビデンス元年」の皮切りだったのだと感じました。これまで蓄積されてきた様々な経験は,毎年学術集会で全国から集まった会員により報告され,さらに本誌を通して論文や資料,報告として発信されてきました。そろそろ各領域各現場で蓄積された叡智を集積し,エビデンスと経験をもとに,次の段階に入る時期が来たということなのでしょう。 つい先日も,幼い命が失われる虐待事件がありました。「すべては子どもの笑顔のために~守り・育み・社会へ~」。これはちば大会のテーマでした。子どもたち一人ひとりの笑顔を守るためには,関係機関や地域の連携,さらに継続的・包括的支援が重要です。大切な幼い命が安心して育つことのできる社会をつくるために,今こそ早急なシステム改革が求められています。本誌が今後も,その一助となることを望んでおります。 本学会において,また編集委員会でも長年にわたりご尽力いただいた小池先生が永眠されました。いつも温かく,力強く私たちを導いてくださった先生の笑顔を胸に刻み,目の前の子どもの笑顔を守るためにこれからも力を尽くしてまいりたいと思います。