ハ-ムリダクションアプローチ

出版社: 中外医学社
著者:
発行日: 2019-06-20
分野: 臨床医学:内科  >  精神医学
ISBN: 9784498229143
電子書籍版: 2019-06-20 (1版1刷)
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商品紹介

やめさせることを目的とせず,患者の苦しいこと,困っていることを一緒に考えること.使っている薬物が違法であろうがあるまいが患者を支援すること.これこそが「ハームリダクションアプローチ」である.依存症は病気である.懲らしめてよくなる病気は無い.人権を尊重したハームリダクションの考え方こそ,依存症治療の基本とすべきである.

目次

  • 第1章 ハームリダクションとその考え方
     ハームリダクションとは何か
     ハームリダクションの歴史
     政策としてのハームリダクションとその効果
     ハームリダクションの考え方とは  ~人権を尊重した支援~
     アルコール依存症治療構造改革とハームリダクション

    第2章 依存症は病気である
     風鈴とクーラーの話から依存症を理解する
     やさしい脳科学から依存症を理解する
     依存症の定義・診断基準から依存症を理解する
     どうして依存症は病気と理解されないのだろうか
     依存症は病気であることの正しい理解の重要性

    第3章 依存症患者の背景にあるもの
     生育環境における影響について
     依存症患者の背景にある対人関係の問題
     依存性物質がもたらしてくれたもの
     物質による孤独な自己治療の結果としての依存症

    第4章 依存症患者を理解する
     依存症患者によくみられる具体的な特徴
     依存症患者を理解した支援

    第5章 依存症治療とはどのようなものか
     治療関係づくり
     治療の動機づけ
     精神症状に対する薬物療法
     解毒・中毒性精神病の治療
     疾病教育・情報提供
     行動修正プログラム
     自助グループ・リハビリ施設へのつなぎ
     生活上の問題の整理と解決の援助
     家族支援・家族教育

    第6章 依存症からの回復に大切なもの
     安心できる居場所と信頼できる仲間があって人は癒される
     荒海をひとり漂流する命綱がアルコールであり薬物である

    第7章 エビデンスに基づいた依存症治療から得たもの
     マトリックスモデルを取り入れたSMARPPの導入
     海外で実践されている心理社会的治療

    第8章 これまでの依存症治療 ―やめさせようとする依存症治療

    第9章 ハームリダクション臨床  ―やめさせようとしない依存症治療
     やめさせようとしない依存症治療とは
     当センター外来での患者の意識調査から
     アルコールや薬物を手放すことの困難さ
     患者に断酒・断薬を強要してはいけない理由
     やめさせようとする治療とはどこが違うのか

    第10章 ハームリダクション臨床の実際
    「ようこそ外来」の実践  ~ハームリダクション外来~
     LIFEプログラムの実際  ~ハームリダクション外来プログラム~
     入院治療の実際  ~入院治療のハームリダクション化~

    第11章 ハームリダクション臨床実践の留意点
     誰にでもできる依存症の診かた:「7つの法則」
     ハームリダクション臨床を行う際の留意点
     誰も傷つけず誰も傷つかないハームリダクション臨床  ~筆者の経験から~

    第12章 ハームリダクション臨床の具体的方法と事例の提示
     ハームリダクション臨床の具体的方法
     ハームリダクション臨床の実際のやり取り
     ハームリダクション臨床事例の治療経過  ~治療困難例の対応から~

    第13章 ダルクとハームリダクション
     ダルクの活動が示していること
     ダルクの優れた点と問題点
     ダルクとハームリダクション
     ダルクに学ぶこれからの回復支援

    第14章 自助グループとハームリダクション

    第15章 患者の人権に配慮した「尊厳あるひと」への支援
     依存症患者の尊厳は守られているか
     スティグマ問題の深刻さを想像してみよう
     どうすれば依存症患者の尊厳が守られるのか
     陰性感情,忌避感情,スティグマから解放されるために

    第16章 ハームリダクションの視点からみた家族支援

    第17章 他の精神疾患へのハームリダクション臨床の応用

    第18章 現代社会とアディクション

    第19章 「ようこそ外来」の現在

この書籍の参考文献

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文献

P.197 掲載の参考文献
1) Harm Reduction International. What is harm reduction? https://www.hri.global/what-is-harm-reduction
2) 林神奈. 研究者がアドボカシーを行うためにできること : バンクーバーにおけるハームリダクション事情と研究者の関わり. In : 松本俊彦, 他編. ハームリダクションとは何か-薬物問題に対する, あるひとつの社会的選択. 東京 : 中外医学社 ; 2017. p.84-95.
4) Urban Health Research Initiative. Findings from the evaluation of Vancouver's pilot medically supervised safer injecting facility-Insite. Vancouver, BC : British Columbia Centre for Excellence in HIV/AIDS. https://www.bccsu.ca/wp-contact/uploads/2016/insite_report.eng.pdf
5) 成瀬暢也. アルコール依存症治療革命. 東京 : 中外医学社 ; 2017.
6) 成瀬暢也. 薬物依存症の回復支援ハンドブック-援助者, 家族, 当事者への手引き. 東京 : 金剛出版 ; 2016.
7) 成瀬暢也. 病としての依存と嗜癖. こころの科学. 2015 ; 182 : 17-21.
8) 成瀬暢也. 薬物患者をアルコール病棟で治療するために必要なこと. 日本アルコール・薬物医学会誌. 2009 ; 42 : 63-77.
9) 成瀬暢也. 臨床家が知っておきたい依存症治療の基本とコツ. In : 和田清, 編. 精神科臨床エキスパート 依存と嗜癖-どう理解し, どう対処するか-. 東京 : 医学書院 ; 2013. p.18-48.
10) 成瀬暢也, 他. 薬物使用障害患者に対する入院治療プログラムの効果と治療転帰に与える要因に関する研究. 平成28~30年度精神・神経疾患研究委託費「薬物使用障害の病因・病態・治療反応性に関する多面的研究 (28-2)」分担研究報告書. 2019. p.25-36.
11) 小林桜児. 人を信じられない病-信頼障害としてのアディクション. 東京 : 日本評論社 ; 2016.
12) 小林桜児, 他. 覚せい剤依存者に対する外来再発予防プログラムの開発-Serigaya Methamphetamine Relapse Prevention Program (SMARPP) -. 日本アルコール・薬物医学会誌. 2007 ; 42 : 507-21.
13) 松本俊彦, 他. 薬物依存者の社会復帰のために精神保健機関は何をすべきか? 日本アルコール・薬物医学会雑誌. 2008 ; 43 : 172-87.
14) ウイリアム・R・ミラー, 他 (松島義博, 他訳). 動機づけ面接法-基礎・実践編. 東京 : 星和書店 ; 2007.
15) ステファン・ロルニック, 他 (後藤恵, 監訳). 動機づけ面接法-実践入門「あらゆる医療現場で応用するために」. 東京 : 星和書店 ; 2010.
16) G・アラン・マーラット, 他編 (原田隆之, 訳). リラプス・プリベンション-依存症の新しい治療. 東京 : 日本評論社 ; 2011.
17) メアリー・マーデン・ヴェラスケス, 他 (村上優, 他監訳). 物質使用障害のグループ治療TTM (トランス・セオリティカル・モデル) に基づく変化のステージ治療マニュアル. 東京 : 星和書店 ; 2012.
18) 成瀬暢也. 誰にでもできる薬物依存症の診かた. 東京 : 中外医学社 ; 2017.
19) 原田隆之. エビデンスに基づいた依存症治療に向けて-Matrixモデルとその実践-. 第31回日本アルコール関連問題学会教育講演資料. 2009.
20) 成瀬暢也, 他. アルコール・薬物問題をもつ人の家族の実態とニーズに関する研究. 平成20年度障害者保健福祉推進事業「依存症者の社会生活に対する支援のための包括的な地域生活支援事業」総括事業報告書. 2009. p.31-115.
21) 成瀬暢也. 特別寄稿 薬物依存症からの回復とダルク. In : ダルク, 編. ダルク 回復する依存者たち. 東京 : 明石書店 ; 2018. p.239-63.
22) 成瀬暢也. 覚せい剤依存症の治療に際しては, 患者に「通報しないこと」を保障するべきである. 精神科. 2012 ; 21 : 80-5.
23) 成瀬暢也, 他. 精神科救急と連携したアルコール・薬物依存症治療システムの構築に関する研究. 平成25~27年度精神・神経疾患研究委託費「物質依存症に対する医療システムの構築と包括的治療プログラムの開発に関する研究 (25-2)」分担研究報告書. 2016. p.43-60.
24) 成瀬暢也. 精神科救急病棟における薬物依存症への治療介入の可能性と有効性の検討. 精神科救急. 2018 ; 21 : 43-7.
25) 成瀬暢也. 誰にでもできる薬物依存症の外来治療. 精神神経誌. 2017 ; 119 : 160-8.
26) 成瀬暢也, 他. 専門病棟を有する精神科病院受診者に対する認知行動療法の開発と普及に関する研究 (1). 平成24年度精神・神経疾患研究委託費「アルコールを含めた物質依存に対する病態解明及び心理社会的治療法の開発に関する研究」研究成果報告会抄録集. 2012.
27) 成瀬暢也. 幻覚剤・危険薬物関連 精神科・わたしの診療手順. 臨床精神医学. 2016 ; 45 (増刊) : 423-5.
28) 成瀬暢也. 薬物 (睡眠薬等) を強く要求する事例への治療的対応. 特集-精神科における困難事例にどう対処するか? II. 精神科治療学. 2014 ; 29 : 1235-41.
29) 成瀬暢也, 他. アルコール依存症家族の支援に関する研究. 平成27年度厚生労働科学研究費補助金障碍者対策総合事業「アルコール依存症に対する総合的な医療の提供に関する研究」総括研究報告書. 2016. p.171-260.

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