スィーガル,ビオンと並び英国精神分析におけるクライン・トラディションの第二世代三傑とされる精神分析家による卓越した著書の待望の邦訳。本書の根幹をなすのは,著者ローゼンフェルドがクラインの理論と技法を支えに統合失調症の精神分析に果敢に取り組んだ航跡と成果である。
「超自我」,「ナルシシズム」,「精神病性転移」,「行動化」,「心気」等,中核的概念を理解するのに必読と言える重要な論考が収録される。
訳者自身が本書を大きな支えにして精神科病院で統合失調症や摂食障害,境界パーソナリティ障害等の臨床に勤しんだように,精神分析を学び実践している方の臨床に大いに寄与することであろう。