本書の著者ボナーノ(Bonanno,G.)は,リジリエン(resilience)を「極度の不利な状況に直面しても,正常な平衡状態を維持することができる能力」と定義している。ボナーノ博士の研究は従来の悲嘆に関する理論に素朴に疑問を感じるところから出発し,悲嘆や死別の理論として有名なキューブラー・ロスの五段階理論を批判し,9・11同時多発テロ,ココナッツグローブ火災などを例に,心的外傷とリジリエンスについて詳細な考察を展開する。本書をグリーフワークに関心のある人にぜひ一読をお勧めしたい。また,愛する人との死別に苦しむ人自身にとっても,そして,そのような人のケアに当たる人にとっても,死にゆくことや死についての肯定的な視点が得られる必読の書といえるだろう。